未来スクール事務局
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(学校法人山本学園内)
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キャリア教育を社会貢献の先へ。経営戦略としてのキャリア教育とは?(後)

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「探求型キャリア教育で、働く喜びを高める」。そんなメッセージが強く心に残る1日となりました。

6月に開催された未来スクール2026年度キックオフイベントでは、未来スクールの黎明期よりキャリア教育の原型として大変参考にさせていただいてきた福井県の清川メッキ工業株式会社 取締役副社長の清川卓二さんにご講演いただきました。清川メッキ工業は、福井県におけるキャリア教育の第一人者。清川さんは「育てる経営」を推進し、メッキ教室や地域と子どもをつなぐアントレ・キッズなどを実践的な取り組みを立ち上げてきました。講演内容は、単なる社会貢献の枠を超え、「経営戦略としてのキャリア教育をどう進めるか」について。本記事ではその前編をお届けします。

(後編はこちらから)

「放任型」から、互いに学び合う「探究型」の社内教育へ

清川:メッキ教室の本質は、子どもたちにメッキを教えることだけではありません。地域にはさまざまな仕事があり、誇りを持って働く大人がいることを知ってもらうこと。そして企業側も、自分たちの仕事を見つめ直し、人に伝える力や仕事への誇りを高めていくことにあります。

こうした活動は口コミで広がり、多くの学校から依頼を受けるようになりました。そして2005年には、福井商工会議所青年部の仲間とともに「アントレ・キッズ」を立ち上げ、地域全体へキャリア教育を広げる活動へと発展していきました。

教育には段階があります。まず知識を学び、仕事を覚える段階です。知識は自信や力となり、主体的な学びができるようになります。

これが戦力となり、思考力、判断力が備わる人材になる。そこには人材への「教育」が必要です。教わる側から教える側。教える側になっていくことが一つ実践をしていく形になる。人に教える経験を通して、思考力や判断力、人間性が磨かれ、組織に貢献できる人材へと成長していきます。先ほど例に出した社員の変化にも、この「教育」が大きく関係しています。

一方で、「仕事は見て盗め」「聞く前に考えろ」といった放任型の教育や、批判ばかりの教育では、人の成長は止まってしまいます。令和の時代に求められるのは、教える機会をつくり、互いに学び合う「探究型」の教育です。

組織にとって最も大切なこと

清川:組織には、上下・横・斜めと、さまざまな関係性があります。恐怖や権威、お金だけで人を動かそうとすると、「やらされる感」や無責任な空気が生まれ、組織は停滞してしまいます。また、仲が良いだけでも、馴れ合いや甘えにつながり、成長は望めません。

私たちが目指すべきなのは、自制心を持ち、互いを理解する心を持ち、共感や感動を積み重ねながら価値観を繋いでいくこと。こうして創造性が発揮できるのです。

そして心をつなぐ活動によってリーダーを育成できます。企業にとって、リーダーを育てることが最も大切です。

そして未来スクールの役割は、相互理解から創造性までを発揮させるところにあります。ここに参加した社員がリーダーとして力を発揮していく。それがなかったら活動は停滞します。私たちの活動をもう一つご紹介したいと思います。

高校生✖️経営者。本気で失敗できる環境が「未来のリーダー」をつくる

清川:現在はロータリークラブの仲間とともに、高校生を対象とした探究活動「みらい育成プロジェクト」にも取り組んでいます。高校生からビジネスプランを募集し、採択されたチームには活動資金最大20万円を提供します。助成期間は最長2.5年。3人以上のグループに対して助成します。そして資金を提供するだけではなくロータリークラブのメンバーが伴走しながら、事業化までを支援しています。

活動資金は返済を前提としていますが、挑戦の結果、赤字になった場合はロータリークラブが負担します。「成功だけでなく、本気で失敗する経験も大切です。本気で挑戦できる環境をつくることが、人を育てることにつながります。

実際に丸岡高校の生徒は「楽しく覚える原子記号」という中学生向け体験型カードゲームを開発し、販売まで行っています。他には福井商業高校の生徒がヴィーガン食を企業とともにつくり、国際交流促進するプロジェクトもあります。また福井は繊維の街でもありますが、残布を再利用して防災グッズを作成・販売するプロジェクトもあります。

それぞれ背景には「ヴィーガン食を提供するお店が少ない」「繊維の残布の用途に困っている」などの社会課題がありました。こうした課題について自ら考え、形にする活動がいくつも生まれています。

2025年度は9チームによるプロジェクトが始動し、ロータリークラブのメンバー25名が指導を開始しています。

人への投資が企業の成長の鍵

清川:未来スクールに参加されている皆さんは、その成果を「社会貢献数を伸ばせたか」「キャリア教育を何回実施したか」「新卒応募が何人増えたか」といった数字で効果を測ろうとされるかもしれません。しかし、そうした考え方は早い段階で乗り越えてほしいと思います。

本当に大切なのは、社員一人ひとりの自己パーパスが育ち、働く喜び、つまりエンゲージメントが高まっているかどうかです。エンゲージメントが高まることで、人の力は何倍にも発揮されます。だからこそ、まずはその変化を測定してほしいのです。

次に見るべきは、リーダーがどれだけ育ったか、そして離職率がどれだけ下がったかです。新卒応募者数だけを追うのではなく、社員が定着し、働き続けたいと思える組織になることが先です。その積み重ねの先に、結果として応募者も増えていくのだと考えています。

まとめになりますが、弊社は1997年から未来への投資活動としてキャリア教育に取り組んでいます。まずは社員一人ひとりが仕事に誇りを持ち、自己パーパスを育むこと。社員のために始めた取り組みですが、その結果としてエンゲージメントが高まり、離職率が下がり、採用力も上がってきました。これが組織としての効果です。

さらに、2005年から開始した「アントレ・キッズ」の取り組みを地域へ広げることで、地域とのつながりも深まっていきました。この取り組みが、現在では「未来育成プロジェクト」へと発展し、未来のリーダーを育てる活動につながっています。

何十年と続けてきた結果として、リーダーが育ち組織力が向上し、売り上げアップにもつながりました。もちろん、キャリア教育だけが理由ではありません。しかし、人への投資を続けてきたことが、会社の成長を支える大きな力になったと実感しています。

ぜひ弊社のこれまでの取り組みが、未来スクールと関わる企業の皆様のご参考になりましたら幸いです。

(講演ここまで)

Written by

ヘメンディンガー綾

ヘメンディンガー綾さん

編集者・フリーライター。より良い教育環境を求めて、大阪府から和歌山市内に移住。歴史的・文化的な遺産と自然の恵みが溢れ、人も温かくて優しい和歌山で育児と仕事を楽しんでいます。

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