未来スクールは2026年2月「第15回キャリア教育アワード」コーディネーターの部において最優秀賞を受賞しました。「キャリア教育アワード」は、企業や団体による教育支援の取り組みを奨励・普及するために2010年に創設された表彰制度です。
未来スクールがこれまで和歌山県内の中学生を対象に、約70社の「未来スクール応援団企業」と、公立中学校が協働する探究型キャリア教育プログラムを11年間継続して実施してきた点などが高く評価されました。
この表彰を受けて、未来スクール設立初期から活動を共に続けている企業の代表者ら(株式会社ウイルバーン商事山口勇人氏、三木理研工業株式会社三木保人氏と、有限会社ナルデン成瀬裕之氏)らと共に宮﨑泉知事へ受賞の報告と、今後の活動について対談を行いました。
「和歌山にしかできないキャリア教育のエコシステムを構築したい」
まず未来スクール代表の山本理恵さんより、第15回キャリア教育アワード最優秀賞受賞のご報告と、今後の豊富が述べられました。
山本:12年前にイベント形式で始まったこの取り組みが、今や日本一の評価をいただけるまでになりました。これは学校現場と地域企業の皆様が手を取り合ってきた結果であり、和歌山の教育の質の高さが全国に証明されたものと自負しております。

私たちが向き合っているのは子どもたちの『将来何がしたいかわからん』『和歌山何もない。とりあえず県を出たい』という諦めにも受け取れる言葉です。若者の県外流出が課題と言われますが、中学時代にふるさと和歌山のために必死に生きる大人と出会う学びは、将来必ず彼らをここに引き戻す根本の経験になります。
現在、県内各地から未来スクールのノウハウを導入したいという要請を頂いてます。未来スクールはこれまで和歌山市で仕組みをつくってきましたが、産官学が一体となったキャリア教育の県全体の展開へ向けて、知事の見解をお伺いできれば幸いです。
宮崎知事:この度は本当におめでとうございます。以前から山本さんの取り組みは素晴らしいと評価していました。紀中や紀南からも問い合わせがありますか?
山本:田辺市や白浜町でも10年ほど前からキャリア教育の取り組みが行われているそうですが、授業の質の担保が難しいと相談を受けています。未来スクールはキャリア教育コーディネーターが学校とプログラムを開発するだけでなく、授業を担当する企業講師を育てます。こうした細やかなノウハウまで具体的に教えるというところには至っていません。
キャリア教育コーディネーターは地域の大人と子どもを結びつける存在
宮崎:以前は「どの職業先生でも授業の質が同じになるように保たないといけない」とおっしゃってましたね。その細かい方法論を教えていかないと授業の質を担保することはできないと思いますが、そのための課題は何ですか?

山本:現在、和歌山市内だけでも学校、地域企業から未来スクール開催に向けたお問い合わせを多くいただいており、ご説明に順次回らせていただいていますが、県全域となると私たちだけの力ではそういった機会を持つことは難しいです。
また和歌山県下では、地域によって課題や地元企業様の業種も異なります。必然的に企業と学校をつなぐコーディネーターの役割や授業プログラムも異なってくると思います。
だからこそ、各地に「キャリア教育コーディネーター」が必要不可欠です。私たちには、キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会とのつながりもありますので、各地で新たなコーディネーターを育成・研修していく体制を整えることも可能です。
三木:職業先生として参加する企業としては、キャリア教育コーディネーターの存在はとてもありがたいです。しかしそこにかけるエネルギーも時間も膨大です。現在は寄付金で未来スクールの運営費を賄っていますが、こうしたキャリア教育コーディネーターが和歌山県下で地域ごとに配置され、キャリア教育コーディネーターが職種として成り立つようなスキームも必要だと思います。

宮崎:私はよくタウンミーティングに参加するのですが、そこには地域のためにすでに活動していらっしゃる個人の方や企業の方も参加されます。未来スクールの実績や、生徒から上がっている感想を見ると、各地域で活躍される方や学校の教職員らも興味を持ってもらえるのではないでしょうか。皆さんが一堂に会する機会をつくるなどはご協力できると思います。
三木:地元にとっても意味のある活動なので、学校や先生方に負担をかけすぎず、どうやったら授業の一環として広めていけるかも課題の一つです。
成瀬:未来スクールに賛同し、PTA側が率先して開催している中学校もあります。
山口:この活動自体のゴールが何で、何を目標としてるのかが成果として見えるまでに非常に時間がかかります。この活動を広げたいという熱は強いですが、その前にまず持続していくことが一番大事です。
山本さんが持つ熱量を全ての地域のコーディネーターが一様に持つのは簡単ではないと思います。ですから、まずはご提案下さったように、関心を持って前向きに取り組みたいと思ってくださる方々と集まる機会を設けていただけたら良いと思います。

宮崎:慌てて一気に行うのではなくて、まずは少人数で少しやってみるのはどうでしょう。まずは地域の側から盛り上がらないといけませんね。そういう機運を醸成していきましょう。
山本:ありがとうございます。未来スクールを受講した生徒の一人が、私のところに駆け寄って来て「未来スクールはまだ和歌山全部の中学校で開催していないと聞きました。未来スクールはインターネットで調べても、そこには載っていない働く人の想いや、仕事の内容が深く学べる授業です。ぜひ全部の中学校で開催して欲しいです」と言ってくれました。
和歌山のどの地域に住んでいても、子どもたちが、その地域の企業やその地域で働く魅力的な大人たちと出会い、「将来を意慾的に考える機会」を『仕組み』としてつくっていけたらと思います。

宮崎:学校の教員や保護者以外の大人と話をできるのはとてもいい機会ですね。様々な大人と接しながら学ぶ。これがキャリア教育の醍醐味です。一方で、それぞれの学校ですでに実施されている課外活動や学習があるので、まずは未来スクールに興味を持ってくれる先生を増やすことが大事ですね。
山口:未来スクールは子どもの自己肯定感が上がるだけではなく、企業側としてもメリットがあります。職業先生にとったら普段の仕事内容を子ども達が「すごい」「なるほど」と直接評価するので、職業先生も自己肯定感が上がります。この取り組みが少しずつでも県下で広がっていければと思います。
山本:和歌山市モデルは先生方と地域企業様など、皆様のおかげでモデルができつつあります。今後は一歩ずつ他地域で展開できたらと思います。
宮崎:ぜひ進めていきましょう。