未来スクール事務局
〒640-8232 和歌山県和歌山市南汀丁29
(学校法人山本学園内)
菱岡工業さまメイン画像
Interview

どんな子も、夢や希望を持って生きていけるように。

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菱岡工業株式会社は、電気機器・制御機器の開発設計・試作、ハーネス加工などを行う製造業の会社です。代表取締役の岡田亜紀社長は、元幼稚園教諭という異色の経歴の持ち主。現在は菱岡工業株式会社の経営だけではなく、障がいのある方が就労するNPO法人ジョイ・コムを設立したり、社屋に保育園を開設するなど、子どもたちが夢や希望を持てる社会をつくる取り組みをされています。

未来スクールで職業先生をはじめたきっかけを教えてください。

私は先代が急逝したことで会社を継ぎましたが、もともとは幼稚園教諭をしていました。学生時代、保育士の資格を取るために障がいのある子どもたちの居住型施設に実習に行った時「障害がいのある子は親が先立ったらどうやって生きていくんだろう」と思ったんです。会社を継いでからも、このことがずっと心に残っていました。ある時、和歌山大学教育学部附属特別支援学校さんの実習生の受け入れをさせていただいて、「もう少し手を差し伸べたら社会で自立して働ける人がたくさんいるのでは」ということに気づいたんです。
そこで、一般就労の難しい障がいのある方やそれに相当すると認められる方が支援を受けながら働くことができるように就労継続支援A型のNPO法人ジョイコムを立ち上げました。こうした活動を続けているうちに毎日の食事を満足に食べることができないぐらい経済的に厳しい環境にいる子どもたちの存在に気づきました。
日本はG7の中では17歳以下の相対的貧困率が高く、給食で命をつないでいる子もいます。お腹を空かせて日々の食事に困っている子が夢を語ることって難しい。でも、子どもが夢や希望を持って生きていけるようにしないと日本の未来はないと思います。
どんな子も当たり前に夢や希望を持って生き

ていける社会にしたい。未来スクールは、子どもたちが夢や希望を描いたり、夢を実現させるための足がかりになる活動ですので、賛同しています。

未来スクールでどのような授業を行っておられますか。

菱岡工業は業務用エアコンや業務用冷凍機の製造を中心に、制御機器や電気機器のハーネス加工、板金加工などを行う会社です。日本はかつて「ものづくり大国」と呼ばれ、ものづくりの技術で国を支えてきました。この「ものづくり」が衰退せず、もっと栄えていくようにという願いも込めて、ものづくりの楽しさを感じてもらえるような授業を行っています。体験の時間ではネジで組み立てるスチール製のペン立てとLEDライトをつくってもらっています。

菱岡工業02

生徒たちの反応はどうですか?

できあがったペン立てを他の授業を受けた友達に見せたら「いいな、僕もつくりたかった」という声も聞こえてきます。教材には説明書もつけていますので、中には自分で説明書を見ながら、手早くつくる子もいます。

とても手が凝った授業ですね。

弊社は板金加工も行っていますので、教材は設計から材料の加工まですべて自社のオリジナルです。でも私が考えたのではなくて、社員に「中学生の子に授業するにあたって、何がいいか考えてみて」と任せました。準備も社員が仕事の合間に行っています。
未来スクールの授業は、私だけではなく新入社員とベテランの社員と一緒に学校に伺っていまして、私は講話を担当して体験の部分は社員が説明するようにしています。

社員さんたちと一緒に職業先生をされているのは、どうしてでしょうか。

未来スクールは、会社の業務以外の経験ができる良い機会です。社員も中学生を前にした時に、伝え方など勉強になることが多いです。またさまざまな立場の社員が関わることで、色んな仕事の内容を伝えられると考えています。

授業で大切にされていることは何ですか。

未来スクールは中学生に対して授業を行いますが、小学校高学年ぐらいの子に向けて話すような言葉づかいで、誰にでもわかりやすく伝えることを心がけています。中には質問があったとしても手が挙げられなかったり、わからないところがあるのにそれを言葉にして質問するのが難しい子もいるかもしれないですからね。

未来スクールと関わったことで、プラスになったことはありますか。

地元の子どもたちに菱岡工業の存在を知ってもらえることです。「菱岡工業で働くには、高校や大学は何科に行ったらいいですか?」と聞いてくれた子もいました。
ですので、なかなか地元に就職したいという若者を増やすのが難しいとか、企業のことを知ってもらうきっかけが少ないと悩んでいる企業さんに未来スクールはとてもおすすめです。

最後に。

未来スクールは現在公立の中学校で開催していますが、開催できている学校とできてない学校があります。この活動は、子どもたちの成長や未来につながるだけではなく、ひいては地域の発展にもつながっていくことだと考えています。
こうした素晴らしいプログラムなので、すべての中学校で開催できるようになってほしいなと願います。
また協力してくれる企業さんが増えると、子どもたちが選べる職業先生の職種も増えて、一人ひとりの希望により近い形で実施できると思います。ぜひいろんな企業さんが関わってくれたらいいですね。

Written by

ヘメンディンガー綾

ヘメンディンガー綾さん

編集者・フリーライター。より良い教育環境を求めて、大阪府から和歌山市内に移住。歴史的・文化的な遺産と自然の恵みが溢れ、人も温かくて優しい和歌山で育児と仕事を楽しんでいます。

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